南 | 栗原さんが最初にデビルマンと出会ったのは何時ですか?
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栗原 | そうですね。一番最初というのは『少年マガジン』の予告を見たのですかね。
小学校2、3年の頃だと思います。
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南 | アニメからではなく原作から入ったタイプなんですね。
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栗原 | まぬけな話なんですけど、当時特撮もので『トリプル・ファイター』
というのがあったんですよ。
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南 | と…トリ???(早速無知さを露呈する)
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栗原 | まあ、分からないかもしれないですけど(笑)。
で、それの敵もデーモンでして、まあ要するにデーモンがらみの作品
が二つもあったんで子供心に『デーモンってなんなんだろう?』って
思ったのが最初の興味でしたね。
そしてTVアニメ版『デビルマン』が始まって見たら『全然違うじゃないか!!』
と思いましたね。
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南 | アニメ版は嫌いだったんですか?
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栗原 | いや、なんか妙に区分けして見てましたね。
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南 | 『それはそれでいいじゃないか』と、
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栗原 | ええ。妙に冷めたガキでしたね。でも、『いつもコミック版のデビルマンは
必殺技を出すんだろう』って思いながら観ていた記憶があります(笑)。
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南 | 『デビルチョップはどこだー!』みたいな。 |
栗原 | なかなか出ないな、って思ってたら、まゆげがにょきにょき伸びて(敵に)
刺さちゃいましたね(笑)。 |
南 | 『マガジンZ』の衣谷さんの『AMON』に関してはどうですか? |
栗原 | 衣谷さんとは、以前作品を担当させてもらったことがありまして、
で、その作品が終わった時に『次回また一緒にやりましょう』っていう話はしていたんです。
そのうち、『アニメでデビルマンをやる』ということを聞いて『衣谷さんのあの絵で、
あのデビルマンを描かせたらどんな風になるんだろう?』って思ったんです。
衣谷さん自身、永井先生に会っていなかったら漫画家にはなっていなかっただろう、って
いうくらい、永井作品は大きな存在としてあるので、話を持っていったら本人も乗り気で、
じゃあやりましょう、ってことになって、それで(連載が)始まったんですが、最初は
やはり「産みの苦しみ」がひどかったですね。というのも元々『デビルマン』って、
一般的にもマニア的にもものすごい作品じゃないですか。それを手掛けるという点で、
物凄いプレッシャーがあったみたいで、よく「胃が痛い」ってこぼしてましたね。
でも、そのくらいの覚悟があったからこそ、これだけの(素晴らしい)作品が出来上がったんだと思います。 |
南 | 本編中ではドス六がかなり目立ってますね? |
栗原 | 『AMON』は最初とてもスタイリッシュな話を目指していたんですが、
2話目以降ドス六が主人公みたいになってきちゃって、熱い話になっちゃって、実は今の『AMON』の
イメージは『仁義無き闘い』なんですよ(笑)。ドス六というチンピラが、不動という兄貴を慕っているんだけど、
その兄貴はもっと上の謎の多いサタンというインテリやくざのおとしいれられて…という構造が出来上がりつつありますね。 |
南 | ドス六は死んじゃったんですか? |
栗原 | 死にました(きっぱりと言い切る)。 |
南 | もう復活はない、と。 |
栗原 | 思いきりよく殺そう、というのがあったんです。
後に残すとストーリーがだらだらしちゃいますから。 |
南 | いち読者としては2話以降、明を救い出すために悪魔と合体までして頑張った
ドス六があっさり死んじゃうのはとてもショッキングだったんですが… |
栗原 | その辺をねらったところがありますね。あとアモンが始めに対決するのは
ムザンでもザンニンでもなく、魔王ゼノンとなんです。(読者の)期待をすかしておいて
一段階上を見せる、というのがコンセプトでありました。
第一部の最終回でも『んなアホな』というようなびっくりする展開があります。 |
南 | ほほう。それは楽しみですね。そういえばコミックの方はずっとアモンばかりが
出てきてデビルマンは登場してませんね?ひょっとしてそろそろ… |
栗原 | そっそれは…ゴホン、ゴホン…(べたなとぼけ方をする)。 |
南 | うーん。あやしい。まあ、それはいいとして。OVAに期待することはなんですか? |
栗原 | デビルマンのOVAの前作って確か8~9年前ですよね。それから現在に至るまで、アニメの技術は
非常に進歩してきた訳です。今の技術で果たしてどんな物が出来上がるんだろう?と期待しています。
子供の頃に好きな漫画がアニメで始まるときドキドキしていたような、そんな期待感がありますね。 |
南 | マガジンZの編集者としては? |
栗原 | 是非とも売れて第二部も作りましょう。そのときはコミックの方もよろしくお願いします(笑)。
いや、いい意味でお互い(コミックとOVA)意識しあって、競い合ってそれでさらに上の作品が出来上がれば、と思います。
以前、OVA監督の竹下さんがコミックを読んでいてくれて、一方キャラデザインの神志那さんは『意識するから読んでいない』
と言ってくれたんです。お二人の反応はどちらも非常に嬉しかったですね。 |
南 | では、ホームページに来てくれている皆さんに一言お願いします。 |
栗原 | 『マガジンZ』のデビルマン、読んで下さい。そして読んでみて、『こりゃ違うぞ』
って思った方は、是非手紙で抗議して下さい。今連載中の『AMON』は次号で一端休みに入ります。
来年の3月より再開しますので、そちらの方もどうぞお楽しみに! |
南 | …なるほど。というわけで、今後ますます「マガジンZ」から目が離せませんね!
栗原さんどうも有り難うございました!! |