「ヨコハマ買い出し紀行」の第85話「かえる」に登場していた、蚊遣りかえる。この蚊遣りを見て、ほのぼのした気持ちになったのは私だけでしょうか? 電子蚊取り機が全盛の時代ですが、最近はインテリアやギフトとして蚊遣りを買い求める人も多いとのこと。そこで、「かえる」にちなんで、今回のお題は蚊取り線香です。


【歴史】

 新宿区内の武家屋敷跡から幕末の「蚊遣り豚」が出土した。形は現在のものとさほど変わらないが、長さ35cm、直径23cmとかなり大きい。蚊取り線香が発明されたのが明治20年代、それまでは杉の葉やおが屑などをいぶして蚊を追い払っていたので大きなものが必要だったらしい。(以上、読売新聞より抜粋。)  さて、明治時代に現在の形の蚊取り線香を、世界最初に誕生させたのは、あの「KINCHO」(社名:大日本除虫菊株式会社)です。KINCHOの創業者である上山氏が、恩師・福沢諭吉の紹介でH・E・アモア氏と出会い、当時日本になかった除虫菊の種子を手に入れたことから、蚊取り線香の歴史がスタートしました。そして、乾燥させた除虫菊の粉末から、明治23年に登場したのが棒状の蚊取り線香です。その後、商品化の試行錯誤と改良を重ね、明治35年に、長時間の使用が可能な、現在の形の渦巻き型蚊取り線香が誕生しました。

棒状の蚊取り線香 明治28年当時の
除虫菊乾燥機
「金鳥の渦巻」 「金鳥の渦巻 微煙」

取材協力:大日本除虫菊株式会社 <HPアドレス:http://www.kincho.co.jp/>

【蚊遣り】

 蚊遣りといえば、蚊遣り豚―。なぜ豚の形をしているのか? 徳利をヨコにして穴を開けて作ったら豚の形に似ていたから、豚が火よけの神様だったから、など諸説ありますが特定できる由来はないようです。蚊取り線香より歴史の古い蚊遣り豚。昔の人も、インテリアとしてアートとして、楽しんでいたのかも・・・。

【情報】
《さんだ蚊遣史料館》
〒669-1323 兵庫県三田市あかしあ台1-40-9
tel & fax 0795(65)4348
館長 島村敏夫