最終回放送記念CASTインタビュー
【山路和弘編】

山路和弘(やまじ・かずひろ)プロフィール
1954年6月4日、三重県生まれ。劇団青年座所属。舞台、映画、ドラマ、洋画吹き替えなど幅広く活躍。舞台は『ブンナよ、木から降りてこい』(1994)、『ムーランルージュ』(1998)、『新版・四谷怪談』(1999)。テレビドラマは『眠れる森』、『氷の世界』。映画は水谷俊之監督作品を中心に『勝手に死なせて!』(1995)、『人間椅子』(1997)、『ISOLA多重人格少女』(2000)、『ホワイトアウト』(2000年)など。洋画吹き替えは『バックドラフト』『戦火の勇気』『恋に落ちたシェイクスピア 』『スターウォーズ・エピソード1』ほか多数。近作は舞台『火の鳥・鳳凰編』、映画『狗神』(公開中)。


――今回、インタビューさせて頂くうえで、山路さんのプロフィールをインターネットで調べさせて頂いたんですが。

山路 あ、そうですか。でも、僕のデータって、あんまりないんじゃないですか?

――とんでもない(笑)、ありすぎて困りました。すごい仕事量なんで、本当に驚きました。役者さんとして、あらゆることをやってらっしゃいますね。映画、ドラマ、舞台、そして声のお仕事と、非常に幅が広くて。

山路 いえいえ、なんでも屋ですから(笑)。まあ、同じことやってるのが、どうも苦手なんで。元々は芝居畑の人間なんですが、そればっかりやってるのも、どうもねえ……いろいろやるのが好きなんですね。同じことやってると飽きてきちゃって(笑)。

――最近のお仕事ですが……舞台ですと、去年の10月、大阪での『火の鳥』の公演。映画のお仕事ですと、今、ちょうど『狗神』が公開中ですね。山路さんの演じられた役(ヒロイン天海祐希の兄役)の評価が特に高いようですが。

山路 え、そうですか? そんな話は僕のところには全然来ないんだけど(笑)。まあ、いろいろやってますんで。そもそも昔(1977年)、青年座に入って、最初は舞台だけやってたんですよ。でも、その頃、映画監督の高橋伴明さんと知り合う機会があって、ATGの『TATTOO<刺青>あり 』(1982)に出演したりして。映画のデビュー作というと、ほぼ同時期の新東宝のピンク映画『猟色OL犯す』(水谷俊之監督/1982)になりますね。

――その水谷俊之監督が脚本も兼ねられた『人間椅子』(1997/ケイエスエス)では、タイトルロールの「人間椅子」を演じられてますよね。

山路 人間椅子。そうそう、やりましたね。ま、正確にいうと椅子職人の役なんですけど。自分で作った椅子に入っちゃう。すっぽんぽんでやらされて大変でしたよ。乱歩原作だからしかたないんですけど、変態ですね、あれは(笑)。機会があったら、見てください、是非。

――それでは、そろそろ『破壊魔定光』の話を聞かないと怒られそうなので(笑)。今回演じられたポンコツですが、まず、いわゆる「人間」ではない役なわけですが。やはり、それゆえの難しさはありましたか?

山路 そうですね。僕は割と機械っぽい声なので、合ってるといえば合ってるかもしれないですね。アニメの仕事自体、そんなにやってないんですけど、どっちかっていうと、普段はですね、定光の上田(祐司)君系というか(笑)、「わーっ!!」って絶叫してるほうが多いんですよ。洋画の吹き替えなんかだと悪役が多いですからね、今回のポンコツみたいに、ずっと落ち着いて喋っているのって、意外と少ないんですよ。

――「悪役」ということでいえば、『スターウォーズ エピソード1』のダースモールも演じられてますね。

山路 ダースモールですか? いや、あれなんか、「フンフンッ!」ばっかりで、台詞はふたつ、三つだけですからねー(笑)。洋画といえば、『シュリ』でソン・ガンホ(主人公役ハンソッキュの相棒の情報部員)をやったと思ったら、この前、『カル』の吹き替えでは、ハンソッキュのほうもやったりしましたね。まあ、両方とも暗い役だから、僕のところにオファーが来たんでしょうねえ(笑)。

――映画といいますと、プライベートでは、どのようなジャンルをご覧に?

山路 まあ、好きなのは洋画全般ですかね。それから、今、中学生になってる息子がいるんですが、昔、家族みんなでアニメの『スラムダンク』にハマったこともありますね(笑)。僕の仕事についてもバカな役ほど喜んで観てますよ。ま、まだ『ポケモン』を卒業したばかりの子供なんですが。僕が吹き替えた洋画なんかをテレビで見ると、「あ、また悪い役やってるよ」とか冷めたこと言いますけどね(笑)。

――ふたたび話が『定光』に戻りますが……シリーズ全体の印象をお願いします。

山路 いやー、最初はどんな話なのか、全然わからなくて。完成したものを観て「ああ、なるほど、こういうものか」って。ええ、楽しみに観てます(笑)。テレビシリーズでSFモノというのは、珍しいですから。

――さて。今日、最終回のアフレコが終わったところですが、今までのエピソードの中で印象に残っているシーンといえば、どれでしょう?

山路 いちどポンコツが壊れて、ヴァルチャーから力をもらって復活するじゃないですか。だけど、力が強すぎて、酔っぱらったみたいになって。あのくだりが、いちばん印象に残ってますね。あそこで、あぁ、ようやく、これまでと違う、人間らしい芝居がやれるって。それがすごく嬉しくて演ってたんですよ。だけど、その後、「ポンコツ」がまたいつもの調子に戻ったシーンをやっていたら、「ちょっと人間すぎますよ」って叱られて。また欲求不満になったりして(笑)。

――ポンコツのように、基本的に感情の起伏がない、トーンが同じという役はやはりキツいものがあるんでしょうか?

山路 そうですね。やっぱりストレスはたまりますね。だから、やっぱり、あのポンコツがおかしくなるシーンは楽しかったですよ。気合い入れてスタジオ行きました。でも、すぐに元に戻されて。ああ、やっぱり、機械なんだなって(笑)。

――機械だから便利に使われるんですかね?(笑) 最終回では、半分以上が山路さんの台詞でしたけど。

山路 まあ、「報告する」っていうシチュエーションだからしかたないわけですけど……こうきたかと思いましたよ(笑)。

次のページ

最終回放送記念CASTインタビューTOP

STAFFインタビューTOP