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2011.10.24

Anime News Network「虚淵玄さんインタビュー」日本語訳掲載!

 


先日お知らせさせて頂いた『Anime News Network「虚淵玄さんインタビュー」』ですが、


日本の皆様にもお届けすべく、日本語訳を掲載いたします!


 



 


 


【Fate/Zero:活字インタビュー:虚淵玄様へのご質問 (Fate/Zero Text Interview: Questions for Mr. Gen Urobuchi)】


 


 


Question(ANN):


第4次聖杯戦争に参加するキャラクターに対して、虚淵さんにはどの程度、自由な裁量があり、ご自身の考えが反映されていますか? 
例えば、どのキャラクターを『ナスバース(北米で使われている造語で、奈須きのこさんが作り出した世界:Nasu Universeの短縮系の意)』に加えるかなど、奈須きのこさんとじっくり話し合いを持たれるということがあったのでしょうか?
それとも、以前登場していないキャラクターでも、ご自身がある程度自由に創る裁量が与えられていたのでしょうか?


 


Answer(虚淵玄):
新キャラやプロットの提案は、まずこちらで草案を提出し、それを奈須さんに監修してもらう、という形で進めました。


とはいえ結果的に9割方はこちらの希望をそのまま通していただいています。


キャラの名前については、こちらで提案したのは久宇舞弥一人だけで、あとはすべて奈須さんが名付け親です。


 


 


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Question(ANN):


Fate/stay nightにおいて、セイバーが、第4次聖杯戦争の間に衛宮切嗣と話したのは三度だけだと言っていましたが、ストーリーを書く上で、二人のメインキャラクターが、直接話すのが三度だけという設定に、難しさのようなものはございましたか?


 


Answer(虚淵玄):
その設定を遵守する上で設定したのがアイリスフィールというキャラです。


セイバーはアイリとだけ話し、切嗣もまたアイリとだけ話す。


こうして言葉を交わさない二人の意思疎通を結果的に中継ぎしてくれるのがアイリだったのです。


 


 


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Question(ANN):


Fate/stay nightのストーリーとの整合性を持たせるために、ご自身が思いついた(Fate/Zeroの)ストーリー要素を変更しなければならなかったことが、どの程度ございましたか?
例えば、全体の時間軸に収めるために、捨てなければならなかった(Fate/Zeroの)プロット要素などはございましたか?
逆に、Fate/Zeroのストーリーを機能させるために、Fate/stay nightでの出来事を部分的に変えないといけないことなどはございましたか?


 


Answer(虚淵玄):
stay nightの設定にあった言峰綺礼の身長設定は、Zeroにおいてキャラクター性を再検討する上で、キャラデザインの武内さんと話し合った末、修正することになりました。


あとはセイバーと切嗣の関係性を険悪にしすぎないよう調整する部分もありました。


あまりにも切嗣に対するセイバーの不信感が大きくなりすぎると、その養子である士郎に対しても、容易に心を開かなくなってしまうのではないか、という危惧があったためです。


 


 


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Question(ANN):


サーヴァントは、外国の神話から引用されたものが多いかと思うのですが、ご自身はFate/Zeroを書くにあたってどれくらいリサーチをされましたか?


また、外国の魔法のシステムについてもどれくらいリサーチされましたか?


 


Answer(虚淵玄):
基本方針として実際の神話の設定はあくまでアイディアソースとするのみに留め、そこからいかに想像力を飛躍させるかに重きを置きました。


魔法のシステムについても、本格的なオカルトよりは、奈須さんの世界観に準じた法則性を意識しています。


 


 


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Question(ANN):


武内崇さんも奈須きのこさんも、子供の頃、(ダンジョンズ&ドラゴンズやロードス島戦記などの)テーブル・ロール・プレイイング・ゲームで遊ばれ、お二方の作品に多くの影響を与えたと伺っています。


虚淵さんご自身も、そのようなゲームをされていましたか?


ご自身がニトロプラスに所属されているということで、特にご自身でプレイされたゲームなどがございましたらお聞かせ下さい。


 


Answer(虚淵玄):


「Call of Cthulhu」は私にとって大変思い出深いTRPGです。拙作「沙耶の唄」などは「Call of Cthulhu」の影響をとりわけ色濃く受けた作品といえましょう。


 


 


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Question(ANN):


ご自身は以前、『Fate/Zeroを書いていた際はライターとして難しい時期で、ストーリーのエンディングを書く事に苦労した』と仰っていたと伺っていますが、その頃と比べて、ライターとして、ご自身が変わったと感じることはございますか?



Answer(虚淵玄):
かつては創作活動が自らの思想の表明でなければならない、という固定観念があり、世に問うに値する思想のないままに物語を紡ぐことが不誠実な行為ではないのか、という想いに囚われていました。


ですがFate/Zeroの執筆を通して、筆を執るという行為そのものの快楽性を再確認した後では、より肩の力を抜いてエンターテインメントに徹した物語作りを行えるようになりました。


 


 


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Question(ANN):


小説の中で、アニメで見るのが待ち遠しいと思うシーンなどございますか?


また、アニメではどうなるのだろう? と予想がつかないシーンなどはございますか?


 


Answer(虚淵玄):
おそらくアニメでは14話になるかと思いますが、河川での大乱戦は映像化において最難関となるでしょうし、そのぶん見応えも素晴らしいものになるだろうと期待しています。


劇中もっとも盛大な戦闘シーンであるだけに、今から期待も膨らみます。


 


 


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Question(ANN):


今回のFate/Zeroのアニメ化で、Fate/stay nightファンに最も見てもらいたいという部分はどこでしょうか?


 


Answer(虚淵玄):
stay nightにも登場する言峰綺礼の、10年に渡る成長の過程に注目していただけたらと思います。


生真面目に苦悩していた若き日の綺礼が、いかにしてstay nightのラスボスにまで大成していくのかが、Zeroにおけるテーマの一つとなっています。


 


 


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Question(ANN):


ご自身から見て、武内崇さんと奈須きのこさんにどのような印象をお持ちでしょうか?


 


Answer(虚淵玄):
長年の交友によって培われた信頼関係は、同業者としても大変羨望させられるものです。


今後とも彼らのチームワークは素晴らしく魅惑的な作品を生み出してくれるものと期待しています。