流刑体反省会番外編
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<流刑体デザインにあたって>

----流刑体ってどれも篠原さんのラフに対して、大畑監督からかなり詳細な修正ラフが出てくるって作り方ですよね? その意味じゃ、かなりハードルの高い作業というか……。

篠原 もちろん大畑さんのラフも突拍子もないところから出てるわけじゃなくて、僕のアイデアラフをかなり尊重してくれた上で、演出的な部分なんかを付加してくるっていうキャッチボール的な作業でしたから、それに対して拒絶反応を起こすようなことは、そうなかったんです。ただその時に、(監督のラフを)まるっきり無視しちゃうっていうか、じゃあオレはこうするっていうカウンター的なモノを出すやり方と、もうひとつ、ホントに従順に、監督のいわれたとおりにやるって方法と、2種類あると思うんですよ。で、『定光』に関しては最初から従順に行こうって決めてたんです。アニメは初めてだし、大畑さんを信頼してるっていうか、この人のいうようにしとけば間違いはないだろう、って。もう胸を借りるつもりでやろう、そういう感じで取り組んでたんで、逆に、スゴくアバウトに注文されたり修正のアイデアを出されても、たぶん出来なかったと思うんですよ。

----時間もなかったし。

篠原 でも『定光』をやってた最初の頃って、『定光』だけしかやってなかったんですよね。純粋にこれの作業をするだけの時間をとってあって、もうムッチャクチャ時間があって、だからイッパイ悩んでるんですよ(笑)。普段、あんまり描かないんですよね、枚数を。完成形の一枚を描くことにスゴく集中するやり方でいつもやってるんですけど、今回は、ヘタに余裕があったぶんだけ、絞り込めないもどかしさみたいなのが常にあって、そういう意味では大畑さんが“じゃあこれはこういうふうに”って具体的に見せてくれたり、というのはスゴいありがたかったです。

----流刑体のデザインをされる際、最初に考えられたことって……。

篠原 最初の頃って、アニメのキャラクターってこんなんだよね、みたいな、ちょっとタカ括った感じで描いてるんですよ、実は。後でちょっと1回、発想の転換があるんですけど、壁にぶちあたった時に、じゃあ何で俺はこの企画に呼ばれたんだろう、とか、いろいろ考える機会があって……っていうか、あんまりアニメっぽくないようにしよう、ってのは、何かのアニメ観てて思ったんですよ、何だったかな? なんか宇宙人が出て来るようなヤツだったと思うんですけど、それ観てて、中身が入ってないようなキャラクターがスゴい多いなぁって思ったんですよね。だから、筋肉でも骨でも何でもイイから、なんか中身が詰まってるようなかたちにしよう、どこに筋肉が入ってるんだかワカんないようなのはちょっとやめようって思ったんですよ。それはもう、剥斬の時から意識してるんで、ホントに初期にそういう転機があったんですけどね。それが良かったか悪かったかはともかくとして(笑)。だから、いい意味で着ぐるみデザインを発展解消したかたち、みたいになればイイなぁ、と。もちろん野望的には、実写でやれそうにないヤツをやろうっていうヤマっ気? そういうの、あるワケじゃないですか(笑)。だから人間型から外す努力は、常にやってたんですよ。ただ、前半はそうでもないんですけど、後半の作業って僕の前の会社(クラウド)でやってたんですけど、そうすると、うるさい小姑がいまして(笑)。

----ああ、クラウドに(笑)。

篠原 某A監督って人がいて、その人がですね、覗いてくるワケですよ。「ナニやってンだよ?」とか言って。まぁアニメのデザインやってるっていうのは知ってるから、「アニメでやるのに、なんか着ぐるみみたいなデザインじゃないか、これ?」とか「ここでなんかちょっと幅のあるとこ見せとかないとマズいんじゃねぇか?」とか、いろいろいってくるんですよ。ほんとにうるさく(笑)。でも、いわれてることはスゴいワカって、頭があって胴体があって四肢があって、っていう発想に、どうしてもなっちゃいがちなんですよね。それだとシルエット的に面白味が出ないっていうか、割とこう、自分で型をハメる必要はないんじゃないかってことだとは思ったんですけど、そン時はね、最後の方までラフが通ってるのもあったんで、もう変えられないっていうか、今更ここでまた全然違うの出して遅らせてもなぁっていうところもあって、まぁごめんなさい、と(笑)。

----あと大畑さんに聞いて驚いたのは、流刑体の線を減らせってオーダーって、なかったとか?

篠原 いや、まったくなかったですよ。だから、逆にイイのかな、とか(笑)。僕は実写の時でも線が多いってよく言われるんですよ。スッゴイ言われます、普通の人の倍入ってるって(笑)。なんか、着ぐるみ造る人たちとデザイナーって、基本的に接点なかったりするじゃないですか。ただ僕の場合、映画とかもやってて、いろいろ話を聞いたりするんですけど、そこで「いや、でも、アレは結構大変でしたよ」みたいなことをポロッと聞いたりするんで。なんつったってシャンゼリオンとかやってますからね。前科アリっていうか(笑)。

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