2026年4月4日(土)夜11時30分よりスタートとなった、TVアニメ『あかね噺』。
第1話の放送に先駆け、ユナイテッド・シネマ豊洲(東京)で先行上映会が行われました。
桜咲朱音役・永瀬アンナさん、高良木ひかる役・高橋李依さん、阿良川志ん太役・福山 潤さんが登壇したスペシャルトークショーの模様を、オフィシャルレポートでお届けします!

――福山さんの落語を見て、自分ももう1段階エンジンがかかったんです
『あかね噺』をアニメーションにするうえで、大きな見どころとなるのが落語シーンです。永瀬さん、高橋さんは、練磨家からし役・江口拓也さんと共に、なんと1年以上前から稽古を開始。一方第1話で唯一、落語シーンがある福山さんはというと、稽古が始まったのが最後。「『トップバッターなのに、俺が最後なの!?』と、導火線に火がついている状態で、寝ても覚めても落語ばかりでした」と明かします。実は福山さん、ドライブ中に落語を聴き続けていた時期もあるほど、落語好きな一面が。それゆえに「憧れはあるけれど、自分が手を出すものではないのかも……と思っていたんです」と打ち明け、そんな落語に『あかね噺』で挑戦できることを「怖さもあったけれど、私としては幸運。細かいことは考えず、できることをやろうと集中して取り組むという、幸せな時間が過ごせました」と教えてくれました。
収録は、ドラマパートは通常のアニメと同じように、落語パートは別撮りで進行。さらに落語パートは、落語家のように座ってやるか、アニメ収録のように立ってやるか、各々に委ねられたと言います。「自分は声優なので、落語をアテレコで一度やってみたくて」と収録に望んだ福山さんは、模索しながら「台本を手にマイク前に立つ、いつもどおりのスタイル」で、「稽古してきたものにプラスして演じるという、贅沢な時間でした」と、収録を楽しめていたことが窺えます。
そんなおっ父役の福山さんの姿を、後ろから見学していた娘役の永瀬さん。「福山さんは落語監修の林家木久彦師匠と共に、アニメとしての表現と、師匠がおっしゃる落語の表現――それぞれをどこまでやろうかと、丁寧にディスカッションされていました。そんな福山さんの落語を見て、自分ももう1段階エンジンがかかったんです。めちゃくちゃ勉強になりました」と明かしました。

福山さんはその言葉をありがたいと受け取りつつ、まだ他共演者の落語を見ていない状況で、「『みんなが自分より遥かに演れるようだったらどうしよう!』と追い立てられている感じがあった」と、トップバッターゆえの重圧が。「ただいざ演じるときには、練習してきたことを成果として出そうと」収録に望んだと言い、「記憶と体に馴染んだ状態でセリフを発するという機会は、これまでのキャリアのなかでも意外となくて。でも台本上に書かれていないことも、自分の中には入っているから。今まであまり味わったことのない面白さを経験することができました」と、福山さんとしても得るものの多い現場だったことが伝わってきました。
――台本は自作! 一言一句同じでなくてもいい落語の世界
永瀬さん演じる 朱音、高橋さん演じるひかるの落語シーンも、期待が高まるところです。高橋さんは練習の日々を、「師匠に練習の成果をお見せする場において、声優としての日頃のスケジュールは関係ないじゃないですか。大きなライブがあろうと、師匠に稽古をつけていただいたものを、仕上げてお見せして、また稽古をつけていただいて……。とにかく必死に食らいついた1年間でした」と思い返します。
落語初心者には驚きなのですが、実は落語の稽古には台本がなく、師匠が一度やってみせてくれたものを自力で覚えるのだそう。一度で記憶できればいいけれど、「耳だけでやろうとしましたが、3行しか入ってこなかったです(笑)」と福山さんが語ったようにそれができるのは稀有な例のようで、3人は台本を自作したと言います。
練習方法を聞かれ、「アンナちゃん、早かったもんね?」と高橋さん。永瀬さんは「稽古をつけていただいた日のうちにできる限り文字起こしをして、それを覚えるまで100回くらい繰り返し読みました。覚えたら、すぐ師匠に『見てください!』と。そんなふうにガツガツやっていたので、早かったかもしれないです」。そのガッツに感嘆し、「その積極性が羨ましいよね。覚えたところで見せたくないもん。ハードルを下げたいから……」と零す福山さんと、「できるかな……って」と同調する高橋さんに、「いやいや、結局見せてもダメ出しをたくさんいただいて、またやっての繰り返しでした!(笑)」と答える永瀬さんでした。
対して高橋さんは、疑問点をひとつずつ解決しながら進めていくタイプ。「台本に起こしているときに、分からない単語が出てくるたび、調べまくっていました。『畚(もっこ ※土砂や石を運ぶカゴ。主に縄や藁で編まれている)って何だ? どうやって持つんだ? どのくらいの大きさ、重さなんだ?』……と1個ずつ解決しないと、書き終えられなかったです」と、細やかで慎重派な人柄が伺えます。

福山さんは分からないフレーズがあれば、師匠に「何て言っているんですか?」と直接質問。第1話で志ん太が披露する『芝浜』は、少なくとも30分はかかる落語だそうで、そこまでの長ゼリフは覚えたことがないとしつつ、「冒頭の5分と、サゲ(※落ち)の5分と、とりあえず分かっているところをやってみて、ある程度頭に入ってきたなかで失敗し、そこで覚えている箇所が分かる」と進めていったと話し、女性陣からは「効率が良いかも!」との声が。
「とにかく全体が分かっていないと、ひとりきりで高座に上がったときに、処理する力が欠けてしまう。一個間違えたら、『あっ……』と止まってしまって、そこで全部終わってしまうんです」と語る高橋さん。というのも、福山さん曰く、「『落語は一言一句違えるんじゃないぞ!』というものではないんです。それに対して僕ら声優は、いただいた台本を変えずにそのままやる。それに慣れてしまっているから、自分の思い描いていた文字でないものが出てくると、止まってしまうんですよ。それをいかに話のなかで馴染ませていくか」なのだとし、同じ声を使って演じる落語家と声優でも、大きな違いが見えます。福山さんはそのなかで「いい意味で“いい加減”でやることの大切さを、再認識できました」としながら、「 それでも『落語やれ!』って言われても、嫌ですけど!(笑)。そんな簡単に言うんじゃない!って思います(笑)」と会場を笑わせていました。
――「私とバチバチやってくれそう!」と解釈一致した朱音役
オーディションで役柄を勝ち取ったという3人。その際の心境について、永瀬さんは「原作を読ませていただき、朱音に共感してしまって。彼女が兄弟子や師匠から言われることが、エンタメや声優という我々の職業に言われていることのような気がして、刺さりまくったんです。これは役者として演じたい!という気持ちになり、セリフと落語を全部覚えて、めちゃくちゃ気合いを入れてオーディションに行きました。朱音役に決まったときは本当に嬉しかったです」。
そんな熱い永瀬さんの話に「分かる!」と共感していた高橋さんからも、「声優という表現の仕事をしているぶん、表現や高みを目指す作品が大好きなんです。芸能界や芸事は、大好物!」と、熱い言葉が。「オーディションの話が来たときは、『絶対受かりたい!』と、心拍数が上がりまくりでした。芸をどんどん身につけていく朱音ちゃんがカッコいい! 自分も『あかね噺』に関わりたい!と思っていました」と、ひかると同じくらい、朱音にも心掴まれ、同じ熱量で2役を受けたそう。その結果「『ひかるに決まりました』と言われたときに、しっくりきたんです(笑)。きっとひかる自身、朱音ちゃんみたいなキャラがいたら『受けてみたい!』と虜になっていると思う。それに朱音役がアンナちゃんだと聴いて、『原作の声がする! 熱さがあって、私とバチバチやってくれそう!』と解釈一致でした」と、素直な心境を告白。
ひかる役に決まったことは幸せと語る高橋さんは、落語界に単身乗り込むひかるに、共感という言葉では足りないほど、心が重なる部分があるよう。「私自身声優の仕事をしながら、チャラチャラしていると思われたくない……という時期があって。新人の若手女性声優がたくさんいて、可愛い衣装を着て歌って踊って、『演技には興味ないんでしょ?』なんて言われたくないんです。 私の表現、高みを目指したい。そういう魂があるタイプだったから、ひかるが『何くそ!』と落語界に入ってくるのを見ていると、肩をガッシリ組んで『分かるよ……っ!』という気持ちになります。ひかるのような人が、声優業界にいてほしい。一緒にお酒を飲みたい!」と、言葉に熱がこもります。
一方福山さんからは、「まったく受かると思っていなかったから、楽しんでやろうと思っていました」と驚きの発言が。「こうやりたいなという自分なりのイメージはあったけれど、落語はやったことがないし、どんなレベルを求められているのかも分からなかった。だからダメでもいいから思い切りやれればいいか!と、緊張しつつ楽しんでやりました。それで受かったと聞いたときには、どういうこと!?と」、想定外の結果だった様子。ただ「託してもらったからには、精一杯やろうと。今までやったことのないポジションでもあったし、志ん太をしっかりやることが、これからの自分をひとつ底支えしてくれるのではと考えました」と心を決めたと言い、さらに「落語は重要なファクターではあるものの、何よりも朱音の父親としてどんなふうにやれるかが、自分のなかでは一番重きが大きいです」と、志ん太という人物を魅力的に演じることをまず大切にしたと言います。
そんな福山さん演じる志ん太について、高橋さんが「朱音ちゃんの前で見せるおっ父の表情が、すごく好きです」と語ると、永瀬さんも「分かります! 温かくて」と同意。ここで福山さんは志ん太に欠かせない人として、朱音に母・真幸(まさき)を挙げました。「朱音の性格は母譲りだし、志ん太を支え(背中を)叩いてくれる真幸は、桜咲家の雰囲気を作ってくれている人。そしてそれを演じる伊藤静さんが、また素晴らしすぎて。彼女とはこれまで何度も共演してきましたが、あの演技に助けられました。第1話の短い登場時間のなかでも、家族の柱を作ってくれたのは伊藤さんです」。これに高橋さんが「落語みたいじゃないですか? 落語の登場人物で出てくるおっ母(かあ)の存在って、まさに下支え。みんなのことを見てくれて、大事なところを担ってくれるのはおっ母ですよね」とし、頷き合う3人でした。

――桑田佳祐さんの主題歌に恐怖心も。「ちゃんと肩を並べられているのか?」
ほかにも今後の登場が楽しみなキャラクターが大勢いる『あかね噺』。永瀬さんは朱音の兄弟子となる「阿良川まいける」を挙げ、「演じる島﨑信長さんのやる気もスゴいんです。第3話の収録でお会いしたとき、『朱音も良いキャラクターだよね。俺も早く落語の稽古をやりたい!』と、ずっとニコニコしていて熱意満々で。兄弟子たちがこんなに熱いことが私も嬉しくて、原作ファンとしても早くまいけるの活躍が観たいです!」と笑顔。高橋さんもこれに同意し、「兄弟子たちがみんなピッタリで、すごく良いチームなんです。あの掛け合いに自分が参加できないことに、ジェラシーを感じてしまうくらい。愉快な掛け合いが楽しみです!」と、チームワークの良さを教えてくれました。
福山さんが気になるのは、「師匠連です。(志ん太の師匠であり朱音も弟子入りする)阿良川志ぐまも、(同門の実力者)阿良川一剣も、まだまだ上の方々がいらっしゃって」と、曲者揃いな阿良川一門が気になる様子。阿良川一剣役を平田広明さん、同じく実力者の阿良川全生役を立木文彦さんが演じることも解禁され、「人情感ある落語をやってくれそうですよね」と言う高橋さんに、福山さんが「平田さんは落語をやってそうな印象があります」と話すと、永瀬さんも「一つひとつに説得力がある!」として、声だけでも伝わってくる只者ではない雰囲気に活躍が待ち遠しくなります。

最後に放送開始に向け、メッセージを寄せた3人。落語に興味を持ったと反応してくれた客席へ、「ではぜひ寄席へ!」と呼びかけていた福山さんは、「どこまで落語をやるのか、アニメーションでどう表現するのか……。原作が好きな方も落語が好きな方も、興味を持たれていたと思います。その答えが第1話が提示できたのでは。伝統芸能は懐深く、突き詰めればキリがなく、芸の道が軽いものではないことは理解しています。僕らも声優として、やれる限りやろうと本作に望んでいます。また渡辺歩監督たちは、落語としての部分と、アニメーションとしての演出、原作の漫画としての面白さ、全部を良い塩梅で取り入れようというすごく難しいことに挑まれ、面白いものを作ろう!という意欲が詰まった作品になっています。みなさんもぜひ『あかね噺』を一緒に盛り上げていただけたら幸いです」。
第1話はひかるの出番がなかったからこそ、「いち視聴者として楽しませていただきました」と話す高橋さん。「携帯画面が“3G”だった!」と時代設定の細かさに驚きながら、触れてくれたのが、本編後の次回タイトル部分で出てくる“高座返し”の演出です。「自分たちも教えてもらったのですが、一席終わった際、座っていた座布団をひっくり返すんです。前座さんなどがそれをすることで、次の方の高座へ繋がる大切な準備のひとつが高座返し。そういう伝統芸能が演出に使われていたり、小さな仕草、扇子の置かれ方、距離感……私も拾いきれていないくらい、随所にこだわりが詰まっています。みなさんもぜひそれを探して、楽しんでいただけたら」と、集まったファンに伝えていました。
「我々キャスト陣とスタッフの皆さんの熱量が高い作品で、なかでも福山さんがスゴすぎて!」と、最後に切り出した永瀬さん。「収録で福山さんの背中を見て、私も頑張らなきゃ!と思えた第1話になっていると思います。それぞれがいろんな形の熱さをもって取り組んでいる作品なので、そこに注目いただけたら」と語りつつ、ここで桑田佳祐さんが担当するオープニング主題歌『人誑し / ひとたらし』の話題も。絵コンテは渡辺監督自ら担当し、「もっと静かな映像になるかと思っていたら、落語の愉快さが詰まったものになっていて、すごく素敵です」と永瀬さん。
桑田さんが作品に参加されると聞いた福山さんは、「おいおい、マジかよ!?って、めっちゃびびってた」と、内心今日まで恐怖心があったそう。というのも、「桑田さんは絶対的な存在感があるじゃん? だからオープニングと第1話がちゃんと肩を並べられているのか?って……。もちろんスタッフの方々がしっかり作ってくださることは分かっていても、第1話を観たときに、自分のパフォーマンスより桑田さんのオープニングのほうが印象に残ってしまったら終わりだから!」と溢し、福山さんが背負っていたものの大きさが窺い知れました。
最後に永瀬さんが「落語、アニメーション、音楽、すべてを楽しめる作品になっていると思いますので、いよいよ放送が始まる『あかね噺』をお楽しみください!」と客席へ伝え、トークショーは幕を閉じました。
▼イベント概要
『あかね噺』第1話先行上映&スペシャルトークショー
日時:2026年4月4日(土)17:00の回上映後
場所:ユナイテッド・シネマ豊洲
登壇者:桜咲朱音役・永瀬アンナ、高良木ひかる役・高橋李依、阿良川志ん太役・福山 潤
MC:鈴木新彩アナ(テレビ朝日)
第1話の放送に先駆け、ユナイテッド・シネマ豊洲(東京)で先行上映会が行われました。
桜咲朱音役・永瀬アンナさん、高良木ひかる役・高橋李依さん、阿良川志ん太役・福山 潤さんが登壇したスペシャルトークショーの模様を、オフィシャルレポートでお届けします!
――福山さんの落語を見て、自分ももう1段階エンジンがかかったんです
『あかね噺』をアニメーションにするうえで、大きな見どころとなるのが落語シーンです。永瀬さん、高橋さんは、練磨家からし役・江口拓也さんと共に、なんと1年以上前から稽古を開始。一方第1話で唯一、落語シーンがある福山さんはというと、稽古が始まったのが最後。「『トップバッターなのに、俺が最後なの!?』と、導火線に火がついている状態で、寝ても覚めても落語ばかりでした」と明かします。実は福山さん、ドライブ中に落語を聴き続けていた時期もあるほど、落語好きな一面が。それゆえに「憧れはあるけれど、自分が手を出すものではないのかも……と思っていたんです」と打ち明け、そんな落語に『あかね噺』で挑戦できることを「怖さもあったけれど、私としては幸運。細かいことは考えず、できることをやろうと集中して取り組むという、幸せな時間が過ごせました」と教えてくれました。
収録は、ドラマパートは通常のアニメと同じように、落語パートは別撮りで進行。さらに落語パートは、落語家のように座ってやるか、アニメ収録のように立ってやるか、各々に委ねられたと言います。「自分は声優なので、落語をアテレコで一度やってみたくて」と収録に望んだ福山さんは、模索しながら「台本を手にマイク前に立つ、いつもどおりのスタイル」で、「稽古してきたものにプラスして演じるという、贅沢な時間でした」と、収録を楽しめていたことが窺えます。
そんなおっ父役の福山さんの姿を、後ろから見学していた娘役の永瀬さん。「福山さんは落語監修の林家木久彦師匠と共に、アニメとしての表現と、師匠がおっしゃる落語の表現――それぞれをどこまでやろうかと、丁寧にディスカッションされていました。そんな福山さんの落語を見て、自分ももう1段階エンジンがかかったんです。めちゃくちゃ勉強になりました」と明かしました。
福山さんはその言葉をありがたいと受け取りつつ、まだ他共演者の落語を見ていない状況で、「『みんなが自分より遥かに演れるようだったらどうしよう!』と追い立てられている感じがあった」と、トップバッターゆえの重圧が。「ただいざ演じるときには、練習してきたことを成果として出そうと」収録に望んだと言い、「記憶と体に馴染んだ状態でセリフを発するという機会は、これまでのキャリアのなかでも意外となくて。でも台本上に書かれていないことも、自分の中には入っているから。今まであまり味わったことのない面白さを経験することができました」と、福山さんとしても得るものの多い現場だったことが伝わってきました。
――台本は自作! 一言一句同じでなくてもいい落語の世界
永瀬さん演じる 朱音、高橋さん演じるひかるの落語シーンも、期待が高まるところです。高橋さんは練習の日々を、「師匠に練習の成果をお見せする場において、声優としての日頃のスケジュールは関係ないじゃないですか。大きなライブがあろうと、師匠に稽古をつけていただいたものを、仕上げてお見せして、また稽古をつけていただいて……。とにかく必死に食らいついた1年間でした」と思い返します。
落語初心者には驚きなのですが、実は落語の稽古には台本がなく、師匠が一度やってみせてくれたものを自力で覚えるのだそう。一度で記憶できればいいけれど、「耳だけでやろうとしましたが、3行しか入ってこなかったです(笑)」と福山さんが語ったようにそれができるのは稀有な例のようで、3人は台本を自作したと言います。
練習方法を聞かれ、「アンナちゃん、早かったもんね?」と高橋さん。永瀬さんは「稽古をつけていただいた日のうちにできる限り文字起こしをして、それを覚えるまで100回くらい繰り返し読みました。覚えたら、すぐ師匠に『見てください!』と。そんなふうにガツガツやっていたので、早かったかもしれないです」。そのガッツに感嘆し、「その積極性が羨ましいよね。覚えたところで見せたくないもん。ハードルを下げたいから……」と零す福山さんと、「できるかな……って」と同調する高橋さんに、「いやいや、結局見せてもダメ出しをたくさんいただいて、またやっての繰り返しでした!(笑)」と答える永瀬さんでした。
対して高橋さんは、疑問点をひとつずつ解決しながら進めていくタイプ。「台本に起こしているときに、分からない単語が出てくるたび、調べまくっていました。『畚(もっこ ※土砂や石を運ぶカゴ。主に縄や藁で編まれている)って何だ? どうやって持つんだ? どのくらいの大きさ、重さなんだ?』……と1個ずつ解決しないと、書き終えられなかったです」と、細やかで慎重派な人柄が伺えます。
福山さんは分からないフレーズがあれば、師匠に「何て言っているんですか?」と直接質問。第1話で志ん太が披露する『芝浜』は、少なくとも30分はかかる落語だそうで、そこまでの長ゼリフは覚えたことがないとしつつ、「冒頭の5分と、サゲ(※落ち)の5分と、とりあえず分かっているところをやってみて、ある程度頭に入ってきたなかで失敗し、そこで覚えている箇所が分かる」と進めていったと話し、女性陣からは「効率が良いかも!」との声が。
「とにかく全体が分かっていないと、ひとりきりで高座に上がったときに、処理する力が欠けてしまう。一個間違えたら、『あっ……』と止まってしまって、そこで全部終わってしまうんです」と語る高橋さん。というのも、福山さん曰く、「『落語は一言一句違えるんじゃないぞ!』というものではないんです。それに対して僕ら声優は、いただいた台本を変えずにそのままやる。それに慣れてしまっているから、自分の思い描いていた文字でないものが出てくると、止まってしまうんですよ。それをいかに話のなかで馴染ませていくか」なのだとし、同じ声を使って演じる落語家と声優でも、大きな違いが見えます。福山さんはそのなかで「いい意味で“いい加減”でやることの大切さを、再認識できました」としながら、「 それでも『落語やれ!』って言われても、嫌ですけど!(笑)。そんな簡単に言うんじゃない!って思います(笑)」と会場を笑わせていました。
――「私とバチバチやってくれそう!」と解釈一致した朱音役
オーディションで役柄を勝ち取ったという3人。その際の心境について、永瀬さんは「原作を読ませていただき、朱音に共感してしまって。彼女が兄弟子や師匠から言われることが、エンタメや声優という我々の職業に言われていることのような気がして、刺さりまくったんです。これは役者として演じたい!という気持ちになり、セリフと落語を全部覚えて、めちゃくちゃ気合いを入れてオーディションに行きました。朱音役に決まったときは本当に嬉しかったです」。
そんな熱い永瀬さんの話に「分かる!」と共感していた高橋さんからも、「声優という表現の仕事をしているぶん、表現や高みを目指す作品が大好きなんです。芸能界や芸事は、大好物!」と、熱い言葉が。「オーディションの話が来たときは、『絶対受かりたい!』と、心拍数が上がりまくりでした。芸をどんどん身につけていく朱音ちゃんがカッコいい! 自分も『あかね噺』に関わりたい!と思っていました」と、ひかると同じくらい、朱音にも心掴まれ、同じ熱量で2役を受けたそう。その結果「『ひかるに決まりました』と言われたときに、しっくりきたんです(笑)。きっとひかる自身、朱音ちゃんみたいなキャラがいたら『受けてみたい!』と虜になっていると思う。それに朱音役がアンナちゃんだと聴いて、『原作の声がする! 熱さがあって、私とバチバチやってくれそう!』と解釈一致でした」と、素直な心境を告白。
ひかる役に決まったことは幸せと語る高橋さんは、落語界に単身乗り込むひかるに、共感という言葉では足りないほど、心が重なる部分があるよう。「私自身声優の仕事をしながら、チャラチャラしていると思われたくない……という時期があって。新人の若手女性声優がたくさんいて、可愛い衣装を着て歌って踊って、『演技には興味ないんでしょ?』なんて言われたくないんです。 私の表現、高みを目指したい。そういう魂があるタイプだったから、ひかるが『何くそ!』と落語界に入ってくるのを見ていると、肩をガッシリ組んで『分かるよ……っ!』という気持ちになります。ひかるのような人が、声優業界にいてほしい。一緒にお酒を飲みたい!」と、言葉に熱がこもります。
一方福山さんからは、「まったく受かると思っていなかったから、楽しんでやろうと思っていました」と驚きの発言が。「こうやりたいなという自分なりのイメージはあったけれど、落語はやったことがないし、どんなレベルを求められているのかも分からなかった。だからダメでもいいから思い切りやれればいいか!と、緊張しつつ楽しんでやりました。それで受かったと聞いたときには、どういうこと!?と」、想定外の結果だった様子。ただ「託してもらったからには、精一杯やろうと。今までやったことのないポジションでもあったし、志ん太をしっかりやることが、これからの自分をひとつ底支えしてくれるのではと考えました」と心を決めたと言い、さらに「落語は重要なファクターではあるものの、何よりも朱音の父親としてどんなふうにやれるかが、自分のなかでは一番重きが大きいです」と、志ん太という人物を魅力的に演じることをまず大切にしたと言います。
そんな福山さん演じる志ん太について、高橋さんが「朱音ちゃんの前で見せるおっ父の表情が、すごく好きです」と語ると、永瀬さんも「分かります! 温かくて」と同意。ここで福山さんは志ん太に欠かせない人として、朱音に母・真幸(まさき)を挙げました。「朱音の性格は母譲りだし、志ん太を支え(背中を)叩いてくれる真幸は、桜咲家の雰囲気を作ってくれている人。そしてそれを演じる伊藤静さんが、また素晴らしすぎて。彼女とはこれまで何度も共演してきましたが、あの演技に助けられました。第1話の短い登場時間のなかでも、家族の柱を作ってくれたのは伊藤さんです」。これに高橋さんが「落語みたいじゃないですか? 落語の登場人物で出てくるおっ母(かあ)の存在って、まさに下支え。みんなのことを見てくれて、大事なところを担ってくれるのはおっ母ですよね」とし、頷き合う3人でした。
――桑田佳祐さんの主題歌に恐怖心も。「ちゃんと肩を並べられているのか?」
ほかにも今後の登場が楽しみなキャラクターが大勢いる『あかね噺』。永瀬さんは朱音の兄弟子となる「阿良川まいける」を挙げ、「演じる島﨑信長さんのやる気もスゴいんです。第3話の収録でお会いしたとき、『朱音も良いキャラクターだよね。俺も早く落語の稽古をやりたい!』と、ずっとニコニコしていて熱意満々で。兄弟子たちがこんなに熱いことが私も嬉しくて、原作ファンとしても早くまいけるの活躍が観たいです!」と笑顔。高橋さんもこれに同意し、「兄弟子たちがみんなピッタリで、すごく良いチームなんです。あの掛け合いに自分が参加できないことに、ジェラシーを感じてしまうくらい。愉快な掛け合いが楽しみです!」と、チームワークの良さを教えてくれました。
福山さんが気になるのは、「師匠連です。(志ん太の師匠であり朱音も弟子入りする)阿良川志ぐまも、(同門の実力者)阿良川一剣も、まだまだ上の方々がいらっしゃって」と、曲者揃いな阿良川一門が気になる様子。阿良川一剣役を平田広明さん、同じく実力者の阿良川全生役を立木文彦さんが演じることも解禁され、「人情感ある落語をやってくれそうですよね」と言う高橋さんに、福山さんが「平田さんは落語をやってそうな印象があります」と話すと、永瀬さんも「一つひとつに説得力がある!」として、声だけでも伝わってくる只者ではない雰囲気に活躍が待ち遠しくなります。
最後に放送開始に向け、メッセージを寄せた3人。落語に興味を持ったと反応してくれた客席へ、「ではぜひ寄席へ!」と呼びかけていた福山さんは、「どこまで落語をやるのか、アニメーションでどう表現するのか……。原作が好きな方も落語が好きな方も、興味を持たれていたと思います。その答えが第1話が提示できたのでは。伝統芸能は懐深く、突き詰めればキリがなく、芸の道が軽いものではないことは理解しています。僕らも声優として、やれる限りやろうと本作に望んでいます。また渡辺歩監督たちは、落語としての部分と、アニメーションとしての演出、原作の漫画としての面白さ、全部を良い塩梅で取り入れようというすごく難しいことに挑まれ、面白いものを作ろう!という意欲が詰まった作品になっています。みなさんもぜひ『あかね噺』を一緒に盛り上げていただけたら幸いです」。
第1話はひかるの出番がなかったからこそ、「いち視聴者として楽しませていただきました」と話す高橋さん。「携帯画面が“3G”だった!」と時代設定の細かさに驚きながら、触れてくれたのが、本編後の次回タイトル部分で出てくる“高座返し”の演出です。「自分たちも教えてもらったのですが、一席終わった際、座っていた座布団をひっくり返すんです。前座さんなどがそれをすることで、次の方の高座へ繋がる大切な準備のひとつが高座返し。そういう伝統芸能が演出に使われていたり、小さな仕草、扇子の置かれ方、距離感……私も拾いきれていないくらい、随所にこだわりが詰まっています。みなさんもぜひそれを探して、楽しんでいただけたら」と、集まったファンに伝えていました。
「我々キャスト陣とスタッフの皆さんの熱量が高い作品で、なかでも福山さんがスゴすぎて!」と、最後に切り出した永瀬さん。「収録で福山さんの背中を見て、私も頑張らなきゃ!と思えた第1話になっていると思います。それぞれがいろんな形の熱さをもって取り組んでいる作品なので、そこに注目いただけたら」と語りつつ、ここで桑田佳祐さんが担当するオープニング主題歌『人誑し / ひとたらし』の話題も。絵コンテは渡辺監督自ら担当し、「もっと静かな映像になるかと思っていたら、落語の愉快さが詰まったものになっていて、すごく素敵です」と永瀬さん。
桑田さんが作品に参加されると聞いた福山さんは、「おいおい、マジかよ!?って、めっちゃびびってた」と、内心今日まで恐怖心があったそう。というのも、「桑田さんは絶対的な存在感があるじゃん? だからオープニングと第1話がちゃんと肩を並べられているのか?って……。もちろんスタッフの方々がしっかり作ってくださることは分かっていても、第1話を観たときに、自分のパフォーマンスより桑田さんのオープニングのほうが印象に残ってしまったら終わりだから!」と溢し、福山さんが背負っていたものの大きさが窺い知れました。
最後に永瀬さんが「落語、アニメーション、音楽、すべてを楽しめる作品になっていると思いますので、いよいよ放送が始まる『あかね噺』をお楽しみください!」と客席へ伝え、トークショーは幕を閉じました。
▼イベント概要
『あかね噺』第1話先行上映&スペシャルトークショー
日時:2026年4月4日(土)17:00の回上映後
場所:ユナイテッド・シネマ豊洲
登壇者:桜咲朱音役・永瀬アンナ、高良木ひかる役・高橋李依、阿良川志ん太役・福山 潤
MC:鈴木新彩アナ(テレビ朝日)