アニプレックス100%子会社の
ミリアゴンスタジオ設立の経緯
アニプレックス100%子会社の
ミリアゴンスタジオ設立の経緯

プロデューサーという仕事 プロデューサーという仕事
プロデューサーという仕事は、なりたいと思ってなれるものではないと思っています。誰かからプロデューサーになりなさい、もしくは、なってほしいと言われない限りは、なることができない。そうなるまでにはたくさんの準備や下積みが必要なのではないかと考えています。
たとえばアニプレックスに入ったら、アシスタントをやったり、営業をやったり、宣伝をやったり、様々な業務を経験し、いろいろな人と出会い、学ぶことができる。そういうところが会社の強みだと思います。
もちろんプロデューサーのなりかたはひとつではないです。私自身は、映画学校を卒業した後、英語ができたことから、海外の作品を共同製作するプロデューサーの方のアシスタントから、キャリアをはじめました。そこで出資について学び、契約書を締結することを学び、製作を管理することを学びました。アシスタントを経験することにより、監督・脚本家・俳優などがどういう関わり方をするのかを学ぶことができました。
制作会社にいた時は、ひとつの作品の現場に毎日立ち会うという経験をすることができました。私自身は転職によって映画製作のいろいろな側面をみることができましたが、そういった経験は確実に、今の仕事に役立っています。
好きなことを仕事にするために 好きなことを仕事にするために
私は世代的にハリウッド映画を観て育ちました。ハリウッド映画は自分からはすごく遠い存在でしたが、大学生のときに『リアリティ・バイツ』(1994年公開)という映画を観て、こういう映画だったら自分でも作れるかも、作れなくてもなにかの形で関わりたい、と思いました。今から思うとすごく上から目線なのですが。そこからアメリカの映画学校に留学しました。
好きなものを仕事にするということは大変なことだと思います。ただ、その大変さを大変だと思わないくらい好きであるということが大事です。
たとえば私は今、ミリアゴンでドラマを作っているので、4月、7月、10月、1月に毎クール始まる地上波ドラマの第1話は全部観るようにしています。それは物理的に大変なことです。でも、そういったことが苦労なくできる人が、こういう仕事に向いているんだろうなと思います。
どんな仕事をするにしても、私がお勧めできるキャリアアップの方法のひとつは、語学を学ぶことです。どんな言語であっても、自国で使われている言語と違う言語を知ると、自国の文化とは違う文化を知ることができる、違う視点を持てるというのはとても大きいことです。たとえば他国でどんなニュースが流れているかがわかると多角的な捉え方ができます。ひとつの事件でも英語と日本語では違う扱われ方をしているので、物事の見え方も変わります。
あとは、自分が今まで育ってきた環境と違う環境に一度身を置くというのも強みになるのではないかと思います。私は、アメリカから帰国したあと、数年シンガポールに住んでいたことがありました。シンガポールは、近隣のインドネシア、マレーシア、ベトナム、タイなどに飛行機で3時間以内に行けるという立地で、東京から福岡に行くような感覚で多彩な国や文化に触れることができました。
実際に暮らしてみると、シンガポールは自国だけでビジネスをしているわけではなくて、東南アジア全体が商圏になっていることがわかりました。どんな仕事をするにしても、国際感覚を磨いていることは役に立つ、好きなことを仕事にするための武器になると思います。

- ■ 村田 千恵子 / ミリアゴンスタジオ 執行役員
- アメリカ留学・サンダンス映画祭事務局勤務などを経て、外資系スタジオで邦画製作に従事。アニプレックス入社後、実写事業を牽引し、「国宝」などを企画・プロデュース。現在はミリアゴンスタジオに出向し、プロデュース部門を統括。
文・取材:志田英邦/撮影:干川 修
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私は日本で大学を卒業した後、アメリカに留学し、映画の勉強をしました。そのまま向こうで数年間働き、日本に帰ってきました。その後、いくつかの会社で働いた後、アニプレックスに入社しました。
入社した時に思ったことは、アニプレックスは若い人の多い、エネルギーがある会社だなということでした。若い人にたくさんのチャンスが与えられていて、もの作りに関わる機会が多いところが魅力だと思います。
アニプレックスは基本がアニメーション作品を作る会社で、いろいろな部署があり、いろいろな人が働いています。制作もするし、配信セールスも、海外のセールスも活発に行っています。グループの中にスタジオもある。
その中の一部署として、実写映画を企画・製作してきましたが、ご縁があってオリガミクスパートナーズという会社といっしょになり、ミリアゴンスタジオが設立されました。
ミリアゴンスタジオにはいま4人の優秀なプロデューサーがいます。私の仕事は、そのプロデューサーたちが立てた企画のサポートをすることです。プロデューサーと言っても個々で得意分野と不得意分野があり、それぞれ監督や脚本家との関係性も違います。それぞれの良いところをうまく活かせるようにしたいと考えています。