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作品の二次利用が 大きなビジネスを生み出す
作品の二次利用が大きなビジネスを生み出す
ライセンス……と一口に言っても、多くの方々にはなかなかピンとこない仕事だと思うのですが、いわゆる作品の二次利用を管理する部署になります。作品の権利を守りつつ、作品をいろいろなお取引先と紐づけることによって、アニメやゲーム作品の二次利用を広げていく。
メーカーの企画したグッズなどを許諾・監修したり、あるいはポップアップショップなどのイベントの許諾・監修、他企業などとコラボ展開するといった、作品をビジネスにつなげていくことが我々の仕事になります。
具体的な仕事としては作品の日本国内の商品化窓口として、グッズを作ってくださるメーカーや、作品の原作元やアニメ制作スタジオ、作品を手掛ける社内の制作メンバーと密に連絡をとっていくことになります。
原作元を交えた監修会を通して、商品のデザインやイベントの内容を「作品側」の目線で精査したり、逆に「ユーザー側」の目線でメーカーとやり取りすることで、作品にふさわしい二次利用を展開することに努めています。
国内ライセンス部では基本的に、ひとつの作品を1人が担当していて、その作品のライセンスにまつわることにはすべて関わっていくことになります。現在『俺だけレベルアップな件』、『HUNDRED LINE -最終防衛学園-』はメインの国内ライセンス担当として携わっています。
それ以外にも事業規模の大きなタイトルは、チームで担当することもあって。『鬼滅の刃』ではチームの一員として、主にゲームセンターの賞品や、店舗や施設、観光地などとのタイアップ・コラボ案件を中心に担当させていただいています。
我々の仕事は、ファンの熱量を具体化していくものだと考えています。お取引先が増えていくにつれて、応援してくださっている人の数や幅広さが数字として具体的にわかるようになります。大きなタイトルに関わると、さらに大きな経済効果のようなものが見えてくることもある。それがライセンスという仕事の面白さだと思います。
実際に作品のグッズを作って、ファンのもとへ届けてくれるのはグッズメーカーによるものですが、我々はそれを通じて、そのグッズを実際に手に取るユーザーにしっかりと向き合わないといけないと思っています。
この仕事をやっていて大事なのは、ユーザーに丁寧に接すること。昨今はひとつの行き違いが大きな不利益を生んでしまうこともあります。一方で、原作者やクリエイターが命をかけて作った作品をお預かりするので、作品のクリエイティブを守るのも我々の大切な仕事です。ユーザーとクリエイターという両方にうまくバランスをとって向き合っていくことも我々の役割だと思います。
クリエイターのアウトプットを 最大化する
クリエイターのアウトプットを最大化する
国内ライセンス部は現在アシスタントをふくめて30名程度が在籍しています。僕が入社した8年前では10人くらいだったと思うので、急速に人数を増やした部署だと思います。
国内ライセンス部内の風通しは良いと思っています。基本的にはそれぞれ作品担当を持っているのでどうしても個人プレーが主体になってしまうんですが、作品の利益を最大化したいという目標は変わらないので、お互いの案件の情報を共有できる環境かと思います。
ライセンスという部署は営業部門のような一面もあって。寝ていても案件が来るということはないので、こちらから動かないといけない。作品に興味を持っているメーカーがいらっしゃれば話を聞きに行き、相性のいい商品があればこちらから口説こうとすることもあります。それぞれの作品にとって、どんな展開をするのかいいのか。どんなメーカーや商品と相性がいいのか。そういったことを部内でもよく話をしています。
自分は新卒のころにゲームの制作をしてみたいと考えていたんです。そういう気持ちはいまだにあって、『HUNDRED LINE -最終防衛学園-』というゲームのライセンス担当になったのは、そのときの思いがきっかけでした。社内でゲームを開発するという話があったときに、ライセンスを通して、ゲーム業界に関わってみたいと思ったんです。
この作品のライセンスを担当したことで、作品がクリエイターの血と涙の結晶であることをあらためて実感しました。だからこそ、クリエイターのアウトプットを最大化していきたい。もっと業界のことを知って、ゆくゆくはもっと深く現場の力になれる存在になっていきたいと思っています。
作品の想いを
守り、広げる。
アニメのビジネスを支える 理想の人材とは?
アニメのビジネスを支える理想の人材とは?
アニプレックスはアニメ作品を多く手掛けていますが、だからといって社員はアニメに詳しい人ばかりでなくてもいいんじゃないかと、個人的には考えています。
昨今のアニメのビジネスは大きく変容しているところです。近年は海外市場への展開や、配信による売り上げが大きくなっている。アニメもゲームもそのときの状況にあわせて、お客さんに作品を受け取ってもらう方法を考えていかないといけない。YouTuberなどの配信者、海外の動き、国内の競合会社の動きなど、いくつもの動きがある中で、アニメ業界のみに先入観を持っていると対応しきれないと思うんです。
2,000円のアクリルスタンドを購入するのはためらうけど、動画配信では迷わず2,000円の投げ銭をする人にはどうすればグッズを買ってもらえるのかとか。お金の使い方も非常に増えている中で、その2,000円をアニメ作品に使ってもらうためのアイデアが次のビジネスにつながるのではないかと考えています。
文・取材:志田英邦/撮影:干川 修
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